皆さんが口にする食べ物が原因で食中毒になることはよく聞きますが、
水が原因で食中毒にかかることがあることはご存知でしょうか?水道ができる前は、消化器系感染症が水系感染で爆発的に流行することは珍しくありませんでした。水系感染例は、コレラ菌、チフス菌、赤痢菌などによるもので、水道の普及しない時代にはごく普通のことでありました。
近年にも水が原因で食中毒になったものとして、
昭和48年 | 静岡県某施設 | 腸管出血性大腸菌 |
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昭和57年 | 北海道某施設 | カンピロバクター、腸管出血性大腸菌 |
昭和60年 | 大分県某施設 | カンピロバクター |
平成2年 | 埼玉県某施設 | 大腸菌O157 |
平成10年 | 長崎県某施設 | 赤痢 |
などがあげられます。(※これらの事件は、井戸水などが原因とされています。)
非常に怖い話ですが、これらの菌は塩素に弱く、塩素を水に添加することで簡単に死滅してしまいます。
水に塩素が添加され塩素濃度が十分保たれていれば、これらの事件はおこらなかったのです。
平成8年に大流行した“腸管出血性大腸菌O-157”の名前は皆さんの記憶に新しいことだと思います。O157は、
当時の日本中を食中毒の脅威にさらし、抵抗力の弱い方々へ大きな被害をもたらしました。このO157も水道水の場合、水に十分な塩素があれば、まったく問題がないのです。
別府市上下水道局でも、塩素の濃度管理には十分に注意を払い、市内27ヵ所の塩素濃度測定を毎日実施しております。
塩素の最大の欠点は、におい(カルキ臭)です。水を飲まれたとき、若干塩素のにおい(特に朝起きた直後)を感じることもあると思いますが、安全な水を利用者の皆様に提供するために塩素の添加は避けて通ることはできません。
衛生基準が高い日本で、腸管出血性大腸菌O-157に集団感染しました。集団感染の原因はO157が学校給食など多くの人が口にするものに混入していたため、大規模な感染被害となりました。
このO157は、抵抗力の弱い老人や幼児には特に注意が必要とされますが、その理由は、潜伏期間が長く毒性の強いベロ毒素を出す腸管出血性大腸菌であり、 感染力も赤痢菌なみに強く、サルモネラ菌が100万個で発症するのに対し、O157は5個でも発症すると言われているからです。発症すると腹痛や下痢、血便を起こし毎年100件程度の被害が報告されています。ただ、2次感染力は必ずしも強くなく、 手洗いの励行と食物も75度以上で1分間加熱すれば菌は死滅し予防できると言われています。
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